
住民主体の生ごみ処理 三重県伊勢市
1.これまでの経緯
市の生ごみ対策としてこれまで、
平成7年〜 コンポストへの1/2補助(3万円上限)
平成9〜14年 生ごみ処理機の貸与事業
幼・保8園、小学校19校、中学校1校
14年度で行きわたったので終了。
平成15年7月、生ごみ処理問題に熱心な津村団地という自治会から申し出
があり、実験事業として、16年2月に本事業がスタートした。
2.事業の概要
費用 15年度決算で298万円。
(処理機275万円、電気工事費5万円、他に電気代、消耗品代)
地元負担金は設置場所の土手改修費用。
処理能力 50戸、48時間所要、50s/日の処理能力
現在利用しているのは津村団地の42戸中40戸プラス近隣で49戸
(津村団地の2戸はすでに家庭で処理装置を保有している)
処理実績 これまで16年2月〜6月までの月平均
投入量500sにたいして取出し堆肥86s
(約83%が堆肥化)
維持管理 団地住民が行っている。投入時間は毎日7〜21時
堆肥は住民の希望者に配布している。(余ることはない)
施設の鍵は利用住民全戸が保有している。
その他 施設裏側の遊園地に、効果をアピールするため、できた堆
肥を用いたプランターと用いないプランターを比較展示し
ている。
なるべく水分を切って投入してもらうため、別途各戸に水
切り用バケツ(@1500円)を配布した。
カラスによる被害がなくなった。
施設に持ち寄ることで、団地住民のコミュニケーションが
図られるようになった。
3.感想
市役所で担当者から説明を聞いたあと、車で現地を見学しました。
場所は中心部からかなり郊外に位置するところ。自然も豊かな丘陵地帯の、
こじんまりとして静かな住宅地です。
その団地の入り口に小さな遊び場があり、遊び場と道路との法面にスペー
スを作り、そこにこの処理機を収めたプレハブ倉庫のようなものが建ってい
ました。(写真参照)
扉を開け、投入口を開くと、少々、鼻をつくような匂いがしましたが、各
戸が鍵を保有し、必要な時だけ開くので、付近住民からは別段苦情もないと
のことでした。
ごみ減量化、再資源化が大変重要な問題となってきた昨今ではありますが、
こうした熱心な動きをする住民がいて、しかも団地としてまとまって市に話
を持ちかけるというような自治会は、今のところ同市でもこの津村団地だけ
のようです。今後の発展・展開については、まだ本年2月に設置したばかり
なので、市としても検討されていません。地域のコミュニケーションがかな
りスムーズにやれていないと、ここまでの事業はできないのではないかと思
われます。市主導で、住民が各戸から発生する生ごみを水を切り、この処理
機まで持ち寄るということを習慣づけることはできないと思われます。
裏に位置する遊び場の一隅に、プランターが並べられており、この施設で
出た堆肥を使ったものと使ってないものと、両方を比較してありました。猛
暑の中の視察でしたので、プランターの植物は元気がなかったですが、それ
でも両者の違いは歴然としていました。子どもたちの遊び場にこうして家庭
の生ごみを利用して植物や野菜を作るという成果を示すことによって、ここ
で遊ぶ団地内の子どもは、知らず知らずのうちに環境問題を学んでいるのか
も知れません。
また、ここまで市に働きかけただけのまとまりのある同自治会は、これに
よってさらにコミュニケーションを高め、いっそう良い近隣のお付き合いが
できているのだろうと想像します。
当面、丸亀市においてこうした熱心な自治会やコミュニティがあるのかど
うか、承知しておりませんが、市として、住民発意の申し出があれば、これ
は前向きに検討していくべきであると思います。また、子育て、防犯、防災、
介護など、今後一層、地域のコミュニティ力が問われることとなるこれから
の地域のあり方として、この「生ごみ処理」を通じたコミュニティづくりは、
大きな戦略としての意味を持つと思われます。その意味では、市から何らか
の形で、コミュニティに打診をかけるなど、働きかけをしてみても良いので
はないかとも考えました。
